ある日の母と子の会話
あれは、中学生のころだろうか?
家に帰るといつものように母親が晩御飯の準備をしていた。
お腹を空かせた息子は母親に
「今日の晩御飯な〜に?」
すると母親は、微笑しながら
「カキの天ぷらよ」
牡蠣の天ぷら?
牡蠣はフライにするもんじゃ…?
いぶかしげな息子を横目に
忙しく晩御飯の準備にいそしむ母親…
息子は、腑に落ちないながらも台所を後にする。
しばらくして、「晩御飯よ」の声に見ていたTVを消し、
テーブルに座ると、
確かにテーブルの上にはお皿に盛られた天ぷらの山
牡蠣の天ぷらかぁ〜
どんな味なんだろ?
猫舌の息子は、やけどしないようにそっと口に運ぶ…
!!!!!
その味は、予想に反してめっちゃ甘かった!
「なにこれ?!」
驚いて聞く息子に母親は不思議そうに
「だから柿の天ぷらよ」
?柿?
「柿は天ぷらにするもんじゃ…それ以前に火を通すもんじゃないんじゃない?」
驚いて反論する息子に母親はにっこりして
「カキっていうくらいだから、天ぷらにしてもいいでしょ?」
『そういえば、この人、結婚当初、お米洗うのに洗剤入れたって言ってたっけ…』
大きくなった息子は、亡くなった母親の天然ぶりを表すエピソードとして、甘酸っぱい思い出としてたんですが…
地方によっては、普通に食卓に並ぶものだったのか…?